2026年10月06日
「何cc入れるか」の前に、どんな変化を目指すか
「ほうれい線には何cc必要ですか」「1ccだけでも変わりますか」。ヒアルロン酸を検討するとき、量と費用は気になるところだと思います。
同じほうれい線でも、必要な量は一人ひとり違います。小鼻の横の骨格に由来する凹みが目立つ方もいれば、小鼻のキワのくぼみが気になる方、頬の脂肪がほうれい線に重なることで影が強く見える方もいます。それぞれ、補いたい場所や治療の目的が異なります。
Lab.clinicでは、お顔全体の状態と表情、ご本人が望む印象を合わせて評価し、治療の優先順位を検討しています。この記事では、ほうれい線を例に量が変わる理由と、診察で提案の根拠を確認するためのポイントをお伝えします。
同じほうれい線でも、治療の考え方が変わる3つのケース
ここからは、当院の診療で治療計画を考える際の例をご紹介します。複数の要因が重なることもあり、ご自身がどのケースに当てはまるかは診察で確認します。記載する量は、条件の合う方での診療上の例です。全員に必要な量や、効果を保証する量を示すものではありません。
1 骨格の凹みによる影が強い場合

原因を説明するためのイメージ図です。実際の患者様の写真ではなく、診断・注入位置・必要量を示すものではありません
小鼻の横の土台となる骨格に凹みがあると、鼻から頬へのつながりに段差ができ、ほうれい線の上の部分が深く見えることがあります。この場合は、骨格に由来するボリュームの不足を補う治療を検討します。
当院では、この治療が適すると判断したケースで、左右合計で約1ccを使用することが多くあります。周囲とのつながりを整え、過度にふくらませない仕上がりを目指す考え方です。
ただし、土台の凹みを補っても、小鼻のすぐキワにある細かな凹みまで十分に変わるとは限りません。ご本人が一番気にしているのが「ほうれい線全体の影」なのか、「小鼻のキワのくぼみ」なのかを、施術前にすり合わせることが大切です。
2 小鼻のキワの凹みが気になる場合

原因を説明するためのイメージ図です。実際の患者様の写真ではなく、診断・注入位置・必要量を示すものではありません
小鼻は医学的には「鼻翼」と呼びます。鼻翼のキワの凹みは、骨格の土台を補う治療だけでは改善しにくいことがあります。そのため、この部分が主なお悩みの場合は、凹みの形に合わせた別の調整を検討します。
当院では、鈍針と呼ばれる先端が丸いカニューレを用いる方法も選択肢にしています。大切なのは、気になる凹みに対して、どの方法でどのような変化を目指せるかを見極めることです。鈍針を使っても、血管障害などのリスクがなくなるわけではありません。
すでに土台を補っているのにキワの凹みが残る場合も、残った部分を診察し、同じ場所に量を足すことが適切か、方法を変える必要があるかを判断します。
3 頬の脂肪の重なりが大きく関係している場合

原因を説明するためのイメージ図です。実際の患者様の写真ではなく、診断・注入位置・必要量を示すものではありません
ほうれい線の上に頬の脂肪がもたれかかり、段差や影が目立っている場合もあります。このようなケースでは、ほうれい線そのものに加えて、頬の支え方やお顔全体のボリュームの分布を確認します。
診察の結果によっては、頬の支えを整える位置にヒアルロン酸を使い、口元にかかる重なりを和らげることを目指します。当院では、この治療を組み合わせるケースで、左右合計で約1ccを追加することが多くあります。
ただし、もともとお顔全体のボリュームが多い方では、さらにヒアルロン酸を足すことで、望まないふくらみが出ないか慎重に考える必要があります。脂肪の量や皮膚のゆるみなどを診察し、糸リフトや脂肪溶解注射など、別の治療を検討・併用する場合もあります。顔にボリュームがあるという理由だけで、これらの治療が必要になるわけではありません。
治療を組み合わせるかどうかは、それぞれに目的があるか、期待できる変化とリスク、ご本人の希望や予算を確認して決めます。
1ccという数字を見るときに、確認したいこと
1ccは1mLと同じ体積です。しかし、同じ量を使っても、同じ仕上がりになるわけではありません。狭い範囲に使うのか、複数の場所に分けるのか、どの製剤を使うのかでも治療計画は変わります。
診察や症例写真で「1cc」という数字を見るときは、次の点を確認してください。
- 片側の量か、左右を合わせた量か
- ほうれい線周辺だけの量か、頬などの治療も含めた合計か
- 初回の量か、追加処置を含めた量か
- どの製剤を使い、どのような変化を目指した量か
左右差がある場合は、左右に同じ量を使うことが目標になるとも限りません。また、先ほどの骨格の凹みと頬の支えの例を足し合わせて、「ほうれい線には合計2cc必要」と決めることもできません。必要な治療の組み合わせを先に考え、その計画に応じて量を決めます。
国内承認の製剤でも、適した部位や使用目的は異なります。ボリューマ XCの電子添文でも、注入方法や量は処置部位に応じて異なること、過修正を避けることが示されています。症例写真に書かれた量を、そのまま自分の必要量に置き換えないようにしましょう。
少量で始めたいときや、以前の治療に追加したいとき
必要な量を超えて足すことは、希望とのずれや不自然なふくらみにつながり得ます。一方、少量であっても注入治療のリスクがなくなるわけではありません。量を増やせば、それだけ長持ちするという考え方でもありません。
「まずは控えめに変えたい」という希望がある場合は、段階的な治療を検討できるか相談してください。今回目指せる変化と、今回の治療では残る可能性がある部分を共有しておくと、仕上がりを考えやすくなります。追加の要否や時期は、施術後の経過を診て判断します。
過去に注入を受けている方は、前回と同量を自動的に追加するのではなく、今の状態を診てもらいましょう。見た目の変化が小さく感じられても、追加が必要とは限りません。施術日、部位、製剤名、分かれば使用量を伝えると、今回の判断に役立ちます。
診察では、量と一緒に治療の理由を確認しましょう
「線を完全になくしたい」と「疲れて見える印象を少し和らげたい」では、治療の目標が異なります。どこまで変えたいかに加えて、「頬の丸みを増やしたくない」「今の顔の印象を大きく変えたくない」など、避けたい変化も伝えてください。
提案を受けたら、次のように聞いてみると、治療計画を具体的に理解できます。
- 私のほうれい線は、どの要因が大きいですか
- それぞれの場所への注入で、何を改善しようとしていますか
- 今回の治療で変えられる部分と、変えにくい部分はどこですか
- 提案された量の内訳と、使用する製剤を教えてください
- 少量から始める方法や、ヒアルロン酸以外の選択肢はありますか
- 追加を判断する時期、追加費用、施術後の連絡先はどうなっていますか
予算の上限と、気になる順番も最初に伝えてください。限られた予算で複数の場所を治療するより、今回は優先する部分を決める計画が適することもあります。今回目指せる範囲、別の治療を検討する理由、治療を見送る選択を含めて相談しましょう。
ヒアルロン酸注入のリスクについて
ヒアルロン酸注入は自由診療です。腫れ、内出血、痛み、凹凸、しこり、感染、アレルギー反応などが起こることがあります。また、血管閉塞などにより、皮膚壊死や視力障害・失明、脳卒中といった重大な合併症が起こる可能性もあります。効果や経過には個人差があります。
施術前に、ご自身の治療で注意する症状、異常があった場合の連絡先と受診方法も確認してください。
よくある質問
1ccあれば、両側のほうれい線を治療できますか
両側に分けられるかと、希望する変化に必要な量かは別の問題です。骨格の凹み、小鼻のキワ、頬の脂肪の重なりなどを診察し、どこへの治療が必要かを確認します。1ccという数字だけで、足りるかどうかは判断できません。
ほうれい線の相談なのに、頬への注入を提案されるのはなぜですか
頬の脂肪の重なりや支えの状態が、ほうれい線の見え方に関係している場合があるためです。ただし、頬への注入がすべての方に必要なわけではありません。ご自身の場合に何を改善するための提案なのか、頬に量を足すことで望まない変化が出ないかを確認してください。
量を少なくして、後から追加することはできますか
段階的な計画を検討できる場合があります。全員に適する方法ではなく、追加の要否や時期は経過を診て判断します。初回の量で目指せる範囲と、追加処置の費用も事前に確認してください。
写真だけで必要量を教えてもらえますか
写真は希望を共有する資料になりますが、正確な適応や量の判断には診察が必要です。表情や皮膚の状態など、写真だけでは分かりにくい点があります。
必要な量は、ご自身のお顔と希望に合わせて相談を
ほうれい線に必要なヒアルロン酸の量は、骨格の凹み、小鼻のキワの形、頬の脂肪の重なり、そして目指す変化によって変わります。量だけで比較せず、「なぜその場所に、その治療が必要なのか」を理解することが大切です。
Lab.clinicでは、現在のお顔の状態とご希望を整理し、治療の優先順位を一緒に考えます。量や予算に迷っている方も、まずは診察でご相談ください。
